十代の頭を打ちぬいた音楽
こんにちは。WAGATSUMAです。
2020年5月に書き始めたブログもようやく目標の一つだった50投稿を終えました。
このブログは自分の好きな音楽(主にロック)の歌詞について考察するというもので、そこに書いてある言葉が「結局どういうことなの?」という疑問を自分なりに読み解いていこう、という動機で始めたものでした。
それは、十代のころに自分がやっていたことでもあります。
15歳で高校を中退して暇を持て余していたこともあり、カセットテープに自分の好きな曲を吹き込んで、土手に座ってライナーノーツを読みながら、自分なりに歌詞について考えていました。
「かっこいいな」「面白いな」「意味わかんねえな」いろいろな言葉が、歌詞がありました。
今回は50投稿記念という個人的祝祭のため、高校を中退して本格的に音楽にのめり込むきっかけになった曲について書いてみたいと思います。
今回は「考察」ではなく、この曲をみなさんと(そして10代の自分と)共有したいという気持ちで投稿します。
ブランキー・ジェット・シティ 自由 歌詞
どこまでも続く
この道をゆけば
きっといつかは
綺麗な草原にたどりつく
さぁ早く 目を閉じて 思い浮かべてみなよ
どれほど冷たい 風に吹かれても
どれほど激しい 雨にうたれても 立ち止まらないで
それはきっと 美しいことだと思うから
ブロンドリーゼント 気にしながら 階段の真ん中で
眠る君の汚れた服が唄ってる 指を鳴らしながら
たてながの瞳で
だけど太陽が こんなに冷たく 見えるのはなぜ
君のにおいが消えそうさ
乱れた髪の毛に くしを入れなよ
君は一人 街を歩くよ 咲き乱れる 黒い自由
見渡す限り何もない 真っ白な雪の草原を思い浮かべながら
いつの日か 頭を撃ち抜いてほしい 君の愛で
何も言わず 頭を撃ち抜いてほしい 君の愛で
後からそっと どこまでも続く この道の途中で
『自由』 ブランキー・ジェット・シティ
いつの日か 頭を撃ち抜いてほしい 君の愛で
この曲を知ったのは、高校を中退して美容室の見習いをしていたときで、店のスタッフはみんなブランキーファンだったから、自然と店のBGMとして流れていたからです。
この曲が収められているアルバムは『THE SIX』初期のベスト盤で、”ガードレールに座りながら”、”胸がこわれそう”、”D.I.Jのピストル”、”冬のセーター”、”ディズニーランドへ”など、初期の傑作が入っています。
最初は”D.I.Jのピストル”がかっこいいじゃん、なんて思っていたのですが(かっこいいんだけど)、15歳の自分には”自由”が一番刺さりました。
ベンジーの書く歌詞は、常に少年の目線から語られていて、その少年は不良で、孤独で、純粋で、子どもでも大人でもない10代の心に真っ直ぐ、最短距離で突き刺さる”最速の歌”でした。
そして、なぜかベンジーの書く歌詞には映画を思わせるようなところがあって、フィクショナルなのに、切実という、この世界じゃないけれど、どこかにあるような、と思わせるリアルさがありました。
リアルさ、というのは多分、「メロンソーダとチリドック」という言葉だったりしたんだけど、同じようにこの曲の「いつの日か 頭を撃ち抜いてほしい 君の愛で」という歌詞にも15歳の自分はリアルを感じました。
ベンジーはナチュラルに天才(天然)で、感覚を言語化する才能が凄いです。頭を通過していないというか……空気からすっと言葉を取り出して物語を編んでいるようなところがあって、ブランキーの歌詞を読むといつもどうやって書いているんだろう、と思ってしまいます。
眠る君の汚れた服が唄ってる 指を鳴らしながら
だけど太陽が こんなに冷たく 見えるのはなぜ
君のにおいが消えそうさ
乱れた髪の毛に くしを入れなよ
君は一人 街を歩くよ 咲き乱れる 黒い自由
見渡す限り何もない 真っ白な雪の草原を思い浮かべながら
いつの日か 頭を撃ち抜いてほしい 君の愛で
こうやって自分の気に入っている箇所を書き出してみると、フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』みたいな雰囲気を感じるな、と思ったりしました。それにしても本当に見事な歌詞ですね。孤独な少年を鮮やかに描き切っています。ちっともジメっとしていない。そのあたりが海外の古い映画を思わせるところなのかもしれません。
多分、10代に受けた衝撃っていうのはやっぱり大きくて、この”自由”という曲がなかったら、真剣に音楽を聴いたり、歌詞を読んだりしなかったと思います。この歌詞を読んで「良い~!ぐっとくるー!だけど、なんでぐっとくるかはわからないー」という気持ちが、あらゆる分野に目を開かせたような気がします。
本当は、今10代の人たちにこの曲を聴いてもらいたいんですけど、もしかしたら今10代の人たちには、「今10代の人たちのためのブランキー」があるかもしれませんね。ぼくはたまたまこの曲で「頭を撃ち抜かれた」わけですけど、それは本当に偶然。たまたまだったわけで。
ロックという音楽は、孤独が似合う。
もちろんライブでもみくちゃになるのも楽しいけれど、夜の中を歩き通すときに助けになるのは橋でも翼でもなく友の足音だ。という言葉があるように、音楽が寄り添ってくれる場合もあると思うのです。
それでは、今回はこのへんで! 100投稿目指して頑張ります。
みんな元気で! バイバイ(ベンジーっぽく)!
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