ダブル・ファンタジー展がリバプールからやってきた!ヤア!ヤア!ヤア!
2018年5月から2019年11月まで、ジョン・レノンの故郷リバプールで開催されていた大展覧会が、東京でも開催中である。
開催期間は、2020年10月9日(金)ジョン・レノン80回目の誕生日から2021年2月18日(木)オノ・ヨーコ88歳の誕生日まで!
会場は六本木、ソニーミュージック六本木ミュージアム。
なかなか濃い内容なので、ビートルマニアも現代美術ファンも楽しめる内容になっていると思う。
↑↑↑こちらは公式のTwitterによる60秒ダイジェスト。
それでは、今展示で個人的に見どころと感じたところを3つ紹介したいと思う。
1 言葉が凄い
ジョン・レノンもオノ・ヨーコも歯に衣着せぬというか、とにかく率直で、「響く」言葉が多い。
例えば、
私は生まれたときから反逆児だった……。
私がやることを世間は気に入らないだろうという確信だけはあった。
オノ・ヨーコ 『ダブルファンタジー ジョン&ヨーコ展』
僕はマーロン・ブロンドになりたい自分と、繊細な詩人、つまりオスカー・ワイルドのようにしなやかで女性的な自分とに引き裂かれていた。
ジョン・レノン 『ダブルファンタジー ジョン&ヨーコ展』
アートは常に生きて、変化している。
人生のあらゆる局面が美しいように、一枚の絵のあらゆる段階も美しい。
オノ・ヨーコ 『ダブルファンタジー ジョン&ヨーコ展』
GIVE PEACE A CHANCE
『ダブルファンタジー ジョン&ヨーコ展』
ジョンとヨーコは出自は違うけれど、どちらも自身をアウトサイダーのように感じていたようだ。リバプール出身の不良少年と、アカデミックな音楽教育を受けた才女が、出会って「GIVE PEACE A CHANCE」と掲げるに至るのはドラマチックだ。
2 アートが凄い
1966年、ジョン・レノンはロンドンのインディカ・ギャラリーで個展を開催していたオノ・ヨーコと出会う。ジョンは現代アートに対してけっこう懐疑的で、「どうせ、まやかしみたいな作品もどきを観せられるんだろ」的な態度だったらしい。そしてヨーコはポピュラーミュージックに関心がなく、当時はまだビートルズを知らなかった(面白い)。
ヨーコの作品に<天井の絵>という作品がある。脚立に乗って、天井にぶら下がった虫眼鏡を使って天井に書かれた小さな文字を見ると「YES」と書いてある作品だ。
これを体験したジョンは感銘を受ける。ただ、もし天井の文字が「NO」とかネガティヴなワードだったらさっさと立ち去って、一生現代アートなんか観ない! と思った、と語っている(面白い)。
今回の展示では、この作品や、このエピソード、ほかの作品も展示されている。個人的には〈白いチェスセット〉が好き。
3 価値観が凄い
ジョン・レノンは言う。「繊細さと男らしさの間で大抵は男らしいほうを選んでいた。もう片方の自分を見せるなんて、死も同然だったから」
ジョン・レノンの価値観は、けっこうマッチョで、フェミニズムのかけらもない男だった。
オノ・ヨーコはポップ(大衆的)な価値観とは真逆の世界にいた。クラシック音楽、現代音楽、現代アート(パフォーマンスアート、フルクサス)、とキャリア通過してきたんだから当然ともいえる。ロックなんか「チャラいもの」だと思っていたとしてもしょうがない。
そんな出自の二人が出会いどんな化学反応が起きたか?
難解そうなコンセプチュアル・アートと、ダイレクトでシンプルなポップが持つ力が合わさり、エネルギーに満ちた作品が次々に作られていった。
オノ・ヨーコがいなければ“女は世界の奴隷か!(世界初のフェミニズムソングとも言われている)”も“イマジン”も作られなかっただろうし、『ベッド・イン』も『バギズム』も、ハウスハズバンド(主夫)生活もなかっただろう。
ヨーコだって、ジョンがいなかったら『パワー・トゥ・ザ・ピーポー』や『TWO VIRGINS』なんていうダイレクトな表現はしなかったかもしれない。
ダブルファンタジー展では、二人の出会いからジョン・レノンが凶弾に倒れるまでが、時系列に展示されている。
カリスマでパワーのある二人だけど、人間が別の人間に影響を与えていく、という普遍の物語にも感じられて素晴らしい。すべての人におすすめできる展示会なので、よかったら行ってみてください。グッズ販売も豪華だよ(アダム・エ・ロペ)!
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