オアシス 『モーニング・グローリー』 ワンダーウォール 歌詞考察

歌詞考察
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オアシスが特別な理由

ロック・バンドはバラードを書く。

好きなバンドのアルバムが、ノイジーでラウドな曲で大半を占めていたとしても、その中に1、2曲バラードが入っていると嬉しいものだ。最高のアルバムには最高のバラードが入っている。ローリング・ストーンズの「ワイルド・ホーセズ」しかり、プライマル・スクリームの「アイム・ルージング・モア・ザン・アイル・エヴァー・ハヴ」しかり。この比率が重要で、アルバムがバラードで占められていると、途端にかったるくなってしまう。

オアシスの 『モーニング・グローリー』は絶妙な(というか完璧な)塩梅で、ロック曲とバラードが配置されていて(区分けしてるという意識もないんだろうけど)、これぞマスターピースという傲慢な星の輝きを放っている……!

オアシスが特別なのは、「ワンダーウォール」を作ったからだと俺は思っている。ワンダーウォール抜きの『モーニング・グローリー』は、「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」と、「モーニング・グローリー」と、「シャンペン・スーパーノヴァ」が入っているだけのアルバムに過ぎない。……あれ、十分傑作だな。

いやいや、「ワンダーウォール」は、巨星との引力のバランスを取る月みたいなものなんだ。

そういえば、グザヴィエ・ドランの映画『マミー』でもこの曲はめちゃくちゃ重要なシーンで出てくるんだ(なんと、挿入歌なのにほぼ一曲まるまる)。最高の映画だから、オアシスファンはマストで観るべき。

Oasis – Wonderwall (Official Video)

ワンダーウォール 和訳

今日こそが恐れていた日

連中の報復を全身で受けとめなきゃならない日さ

今やお前でさえ何とかして

その対応策を身につけてるだろうけど

この世界中に誰ひとりとして

俺のような共感を抱いてる奴はいない

悪意を含む言葉はビートに乗って大通りを闊歩し

お前を突き動かす野望でさえ世間で戯画化された

お前にとっては別に驚くような事じゃないにしても

この結末に疑いさえ抱いてなかったにしても

この世界中に誰ひとりとして

俺のような共感を抱いてる奴はいない

俺達がこれから共に歩く茨の道はどこまでも終りがなく

俺達を導くべき光明にさえ目がくらむような場所

いくら語っても語り尽くせないほど

お前に話しておきたいことがあるんだ

どう切り出せばいいのか解らないけど

でも(だって)(だから)(こう言った)多分お前こそが

俺の救世主になってくれるんじゃないか?って

だって(そして)結局は

お前こそが彷徨う俺の終着点なんだから、と

今日こそがそんな日だったって?

でも連中は決してお前の愛に応えたりはしない

今やお前でさえ何とかして

自衛手段ぐらいは身につけてるだろうけど

この地球上に誰ひとりとして

俺のような共感を

抱いてる奴はいない

お前をこれまで先導してきた道標には終わりがなく

お前を導くべき光明にさえ目がくらむような場所

いくら語っても語り尽くせないほど

お前に話しておきたいことがあるんだ

どう切り出せばいいのか解らないけど

でも(だって)(だから)(こう言った)多分お前こそが

俺の救世主になってくれるんじゃないか?って

だって(そして)結局は

お前こそが彷徨う俺の終着点なんだから、と

でも(だって)(だから)(こう言った)多分お前こそが

俺の救世主になってくれるんじゃないか?って

だって(そして)結局は

お前こそが彷徨う俺の終着点なんだから、と

そう多分

お前だけが俺を救えるのかも

お前だけが俺を救ってくれる

お前こそが俺の救世主になってくれる筈

oasis 『 (What’s the Story) Morning Glory?』Wonderwall 対訳:児島由紀子

お前だけが俺を救えるのかも

ワンダー・ウォールの元ネタがジョージ・ハリスンからだとしても(ビー・ヒア・ナウがジョン・レノンからの引用でも)構わない。ワンダー・ウォールはオアシスで、オアシスはワンダーウォールだ。

さて、このワンダーウォール。この和訳では誌的に〝彷徨う俺の終着点〟と訳されている。めちゃくちゃいい訳だと思う。

悪意を含む言葉はビートに乗って大通りを闊歩し

お前を突き動かす野望でさえ世間で戯画化された

という箇所もとてもいい。

ただ、この曲は歌詞が意味を超えてしまっている。まさしく〝ワンダー(驚異)〟な曲で、メイビーと、ワンダーが、意味を超えた力を発揮している。

だから、ときどき兄のノエルがアコギ一本でこの曲を演奏するけれど(めっちゃいいんだけど)、どこか、意味を纏っていてロック・バラードの佳曲感が顕れて(むしろ、それがこの曲の本質なのかもしれないけど)しまっているように感じるんだ。

俺は、この曲の驚異性はリアムが歌わないと発揮されないんじゃないかと思っている。リアムが「救い」を歌うのはちょっとだけ滑稽だ。でも、「多分」と付くことで(そういえば1stアルバムのタイトルはディフィニトリーメイビーだった)、逆説的に説得力が増しているのが驚異的だ。……多分ね。

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