パティ・スミス 『ホーセス』 エレジー 歌詞考察

歌詞考察
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アラン・レイニアと共作 『ホーセス』を締めくくる哀歌

名盤『ホーセス』は“エレジー(哀歌)”で締めくくられる。

この曲はブルー・オイスター・カルトのアラン・レイニア(パティ・スミスの恋人だった)との共作でギターも弾いている。

この曲は詩人としてのパティ・スミスというよりは、かなり率直に自身の想いを吐露している。

3分未満のこの曲は小品といったような曲で、感情をぎゅっと詰め込んだ宝石のような曲だ。作られた当時は死んでいったジミ・ヘンドリックスやジム・モリスンに捧げられていたはずだが、伝説のライヴハウスCBGBが閉店のするその日にステージに立ったパティ・スミスは、“エレジー”を演奏する前に盟友リチャード・ソウル、ニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダース、ラモーンズのジョニー・ラモーン、ジョーイ・ラモーンの名前を読み上げて演奏を開始した。

パティ・スミスは多くの仲間を見送り、その後も一緒に生きている。

エレジー 和訳

今夜はどうしたらいいのかまるで分からない

酒を飲んで息をするたびに頭が痛む

ひとりでもがいていると

記憶は骨の中でクリームのように溶けていく

今夜 私が夢見ることができるような何かが きっとあるに違いない

あなたの身体の動きを感じさせる空気がこの場所には満ちている

炎はすべて凍りついてしまったけど それでも私には意思がある

トランペットとバイオリンが 遠くで鳴っているのが聞こえる

そして私の肌は光線を発するけど

悲しいことだと思う あまりにもひどすぎると思う

今日 私たちの友だちが 私たちと一緒にいられないなんて

パティ・スミス 『ホーセス』 エレジー 歌詞対訳:野村伸昭

炎はすべて凍りついてしまったけど それでも私には意思がある

今夜はどうしたらいいのかまるで分からない

まずは一行で自分の率直な想いを吐き出す。そして残された者の孤独さを次の歌詞で表現する。

ひとりでもがいていると

記憶は骨の中でクリームのように溶けていく

記憶はクリームのように……生々しくどうしようもない感情を誌的に表現。

今夜 私が夢見ることができるような何かが きっとあるに違いない

パティ・スミスは「もがき」の中に小さな光を探す。生きる者の使命として言葉を絞り出していく。

炎はすべて凍りついてしまったけど それでも私には意思がある

この歌詞がこの曲のメッセージだろう。

あなたの身体の動きを感じさせる空気がこの場所には満ちている

死者は心の中で生き続けているというパティ・スミスの肯定。ファーストアルバムですでにパティ・スミスは完成している。

この曲では率直な感情が美しく響いている。小さいながら永遠を感じさせる佳曲だ。

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