プライマル・スクリーム/スワスティカ・アイズ 歌詞考察

歌詞考察
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エクスターミネーター=害虫駆除

プライマル・スクリームが2000年にリリースしたクリエイション・レコーズ最後のアルバム『エクスターミネーター』

このアルバムの先行トラックとしてリリースされたのが“スワスティカ・アイズ”だ。

プライマル・スクリーム2回目の絶頂期に入るこのアルバム。めちゃくちゃ過激で政治的で、なおかつ非常にクオリティの高い作品となった(2009年にNME誌が発表した2000年代のベストアルバム100選の中で、このアルバムは3位にランクされた)。

2年前にキューバに行った時、背中にパイプの付いたタンクを背負った宇宙飛行士みたいな男を見たんだ。一体、この男は何者なんだ? 質問して返ってきた答えがエクスターミネーター(=害虫を退治する職業)さ。なんてグレイトなイメージなんだろうと思ったよ。

ボビー・ギレスピー エクスターミネーター ライナーノーツより引用

この強烈なビジュアル体験を経て、このアルバムの一つの方向性が決まったプライマル・スクリームは、エッジの尖った凶悪な近未来パンクサウンドと攻撃的なメッセージを持った作品を作り上げる。

このアルバムのテーマは「怒り」だ。それも、何か「大きいもの」への怒りが満ちている。

Primal Scream – Swastika Eyes (Official HD Video)

SWASTIKA EYES スワスティカ・アイズ 和訳

Your soul don’t burn

you dark the sun

you Rain down fire on everyone

Scabs police government thieves

Venal, psychic amputees

your Parasitic

your syphilitic

your parasitic

your syphilitic

Swastika eyes

swastika eyes

Swastika eyes

swastika eyes

swastika eyes

I’ll Vent my spleen

I’ll keep my dreams

My flesh, my bones, my soul, I own

My mind’s a weapon, immune from infection

Blood in my eyes my vision is clear

your Parasitic

your syphilitic

your parasitic

your syphilitic

Swastika eyes

swastika eyes

Swastika eyes

swastika eyes

swastika eyes

I see your autosuggestion psychology

ellimination policies

A military industrial illusion of democracy

Swastika eyes swastika eyes swastika eyes

おまえの魂は燃えない

暗い太陽

おまえはみんなの炎に雨を降り注ぐ

悪徳警官 政府の盗人

精神を摘出された腐敗した輩たち

おまえは寄生虫

おまえは梅毒患者

おまえは寄生虫

おまえは梅毒患者

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

この怒りを晴らしてやる

自分の夢を守るのさ

この肉も骨も魂もオレのもの

この頭は感染を免れるための武器

瞳は血走っていてもハッキリと見えるんだ

おまえは寄生虫

おまえは梅毒患者

おまえは寄生虫

おまえは梅毒患者

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

かぎ十字の瞳

おまえの自己暗示的心理や

排他的なやり方はお見通し

民主主義の軍事産業的幻影

かぎ十字の瞳 かぎ十字の瞳 かぎ十字の瞳

Primal Scream Swastika Eyes 対訳:沼崎敦子

自分の夢を守るのさ 

ナチスの野外ファッションショーという、どぎついPV(よくリリース出来たな……)。ナチスのシンボルマークのかぎ十字が歌詞の中に出てくる(ボーカルのボビー・ギレスピーも出演してるよ)。

おまえの魂は燃えない

という言葉で始まるこの曲。

悪徳警官 政府の盗人

精神を摘出された腐敗した輩たち

おまえは寄生虫

おまえは梅毒患者

警官、政府、精神を摘出された腐敗した輩、に対して攻撃をする歌詞。

セックス・ピストルズやザ・クラッシュの時代は、政府と市民の対立構造はもっとシンプルだった。そのシンプルなアクションがパンクだったり暴動という形で表現されたんだと思うんだけど、2000年になって資本主義が拡大していくと、その形が複雑になった。インターネットをはじめとするテクノロジーが発達して世界は発展した。いい方向にも、悪い方にも。

プライマル・スクリームは、この『エクスターミネーター』というアルバムで、アンチ多国籍企業、アンチ軍国主義というメッセージを押し出しているわけだけど、その中でも、何も考えず生きている人々へも攻撃している。

つまり、自分の人生を生きていない(ように見える)人たちへ、強烈にメッセージを送っているんだ。

何も考えず生きるということはナチスと一緒だ、おまえらの瞳はかぎ十字に見えるぞ!

というわけだ。

自分の夢を守るのさ

この肉も骨も魂もオレのもの

この頭は感染を免れるための武器

自分の頭を使って生きる。自分の全部は自分のもの、無気力に生きることを逃れるには頭を使え。

それが夢を生きるということ。

「害虫駆除」、虫は小さい。だけど、プライマル・スクリームは何か大きいものに対して勝負を挑んでいるように見える。

バンドというのは、何かを変えたい。そういう気持ちで少年時代に仲間とわーわーやりながら結成するものだよね。原動力は、反骨心だったり、怒りだったり、欲望だったり……。

でも「そういう気持ち」というのは消えてしまいやすい。パンクシーンだって一瞬盛り上がってすぐに消えたし、反骨心でデビューしたバンドが数年後にはラブバラードを歌っていたりする。

怒りってのは、怒ってる本人が一番しんどい。だから長続きしないんだ。

それにビッグなバンドになるとリスキーでもある。

だけど、ボビー・ギレスピーは「人がどう思おうと関係ないんだ」と言う。ぼくたちも、たまにそんなことを言うだろう。だけど、マジで、人がどう思おうと関係ないという姿勢で生きていくのはかなりしんどい。でも、自分の夢を守るっていうのはそういうことなんだろう。

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