美しい怒り
レディオヘッドの怒りは静かに鳴らされる。
“ユー・アンド・フーズ・アーミー?”でレディオヘッドは、直接的な言葉で「怒り」を表明している。それは、「軍隊(国、政府)」に向けた怒りだ。
くぐもった声で「Come on Come on(さあ来いよ)」と歌うその声には、怒りのトーンはあまり感じられない。まるで亡霊のようにささやかれるその声はひどく不安げだ。
ユー・アンド・フーズ・アーミー? 和訳
呆れたね
いいかげんにしてくれ
僕を煽っているつもりなんだろ
ふざけるな
そんな脅しが効くとでも?
どうせ一人じゃできないくせに
呆れたね
いいかげんにしてくれ
神聖ローマ帝国
かかってきなよ
かかってきなよ
僕らを相手に闘えると思うなら
僕らを相手に闘えると思うなら
そんな脅しが効くとでも?
どうせ一人じゃできないくせに
随分と忘れっぽいんだな
今夜、僕らは行くよ
幻の馬に跨って
Radiohead Amnesiac You And Whose Army? 対訳:今井スミ
今夜、僕らは行くよ 幻の馬に跨って
個対軍隊を描いたこの歌詞で、主人公は個に立っている。
軍隊に対して「かかってきなよ」と挑発をする。
「神聖ローマ帝国」は神の名のもとに侵略を行った。これを安易に「悪」とは断定できないけれど、帝国は「個」ではなく集団だった。それもとてつもなく巨大な。
現代でいうならば、メガテック企業がそれにあたるかもしれない。
かかってきなよ
僕らを相手に闘えると思うなら
そんな脅しが効くとでも?
どうせ一人じゃできないくせに
この去勢ともとれる声は、あまりにも小さい。そしておそらく個は負けるだろう。
今夜、僕らは行くよ 幻の馬に跨って(We ride tonight Ghost horses)
この曲は、滅びた者、敗れる者の声として歌われる。
だからこそ、美しくぼくたちの胸に響くんだ。
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