驚異の新人ザ・ストーン・ローゼス登場!!
ザ・ストーン・ローゼスの登場は、低迷するイギリス音楽シーンを根底から変えていく可能性を感じる。これは本当に久々の掛け値なしの超大型新人である。
ロッキング・オン 増井修 ザ・ストーン・ローゼス『石と薔薇』ライナーノーツより転載
UKロックの金字塔『石と薔薇』が1989年にリリース。冒頭の引用はぼくの持っているCDのライナーノーツからで、このバンドの登場がどれぐらいのインパクトだったのかを、ロッキング・オンの増井さんが興奮しながら紹介していて非常に楽しい。
それにしてもリアルタイムでストーン・ローゼスの登場を見れるなんてマジで羨ましいよね。
自分の世代だと、ストロークスとリバティーンズがこれに近い熱狂を生んでいたような気がする。
センセーショナルなバンドの登場に共通してるのは、ちょっと古い感じと、ちょっと新しい要素が組み合わさっていることかな? とふと思った。
ストロークスもリバティーンズもニューヨークパンクロックやUKパンクのスタイルを現代バージョンにアップデイトして、自分たちにしか出せないスタイルを生み出したし、このストーン・ローゼスも60sポップ風のメロディに迫力のあるグルーヴが合わさってそれまでになかった音楽を生み出した。
それは、自分の血となるぐらいの過去の音楽への愛と、革命的なアイデア、そのうえキャラクターが立っているとこんなモンスターバンドが生まれる……!
だけど、ちょっとのアイデアなんだろうな。偶然の要素だったり運だったり時代だったりね……
さて、この革命的な『石と薔薇』なんだけど捨て曲がないんですよね。ちょっとリストにすると、
- 1.憧れられたい
- 2.シー・バングス・ザ・ドラムス
- 3.ウォーターフォール
- 4.ドント・ストップ
- 5.バイ・バイ・バッドマン
- 6.かわいいエリザベス
- 7.綿菓子みたいな女の子
- 8.メイド・オブ・ストーン
- 9.シュート・ユー・ダウン
- 10.これだ!!
- 11.僕の復活
“綿菓子みたいな女の子”と“これだ!!”がいいね(笑)
最近、和訳のタイトルが少なくなってきているから少し寂しい。。THE WHOの”恋のピンチヒッター”とかそういう感じのタイトルってもう見なくなっちゃったもんな。素敵なのに。
1曲目の”憧れられたい”~11曲目の”僕の復活”まで強烈な曲が並ぶ。ぼくの持っている盤には”フールズ・ゴールド”が入っていないけど、ボーナス・トラックとして入ってる盤もあるからね!さらに強烈!
荒野を行くストーン・ローゼスたち。イアン・ブラウンのマンチェスターのボス猿感が強固に出たPVだ。(笑) それにしても「この4人にしか出せない感」が強い曲だな。あらためて感動。
憧れられたい 和訳
I don’t have to sell my soulhe’s already in me
魂を売る必要はないんだ 彼は既に僕の中にいるから
I don’t need to sell my soulhe’s already in me
魂を売らなくたっていいんだ 彼はとっくに僕の中にいるから
I wanna be adored
I wanna be adored
愛されたい
崇拝されたい
I don’t have to sell my soulhe’s already in me
魂を売る必要はないんだ 彼は既に僕の中にいるから
I don’t need to sell my soulhe’s already in me
魂を売らなくたっていいんだ 彼はとっくに僕の中にいるから
I wanna be adored
I wanna be adored
愛されたい
崇拝されたい
You adore me
You adore me
きみは僕に憧れる
きみは僕を崇拝する
I wanna be adored(×4)
憧れられたい
憧れられたい
憧れられたい
憧れられたい……
ザ・ストーン・ローゼス 『石と薔薇』 憧れられたい 対訳:山下えりか
魂を売る必要はないんだ
これでもか、というぐらいシンプルな歌詞。書いてあることはおおむね2個、憧れられたい。そして魂は売るな。以上――というのもなんなんで……、彼らの発言や行動からこの歌詞を深堀りすると、彼らの有名な発言に「90年代はオーディエンスの時代だ」というものがある。
ステージ上の自分たちに当たるスポットライトを暗くして、観客に向かって照明を当てる。主役は観客。だからステージに立っている人間に声援を送るな(魂を売るな、彼(音楽)は既にあるから)という解釈で、ロックスター批判なのかな、と少し思った。
憧れられたい!と思ってステージに立っている人間に魂は売るな!これからはオーディエンスの時代なんだから!
そんなメーセージ。
もちろん、これは一つの解釈。それにイアン・ブラウンは「憧れられたい」人間に思えるし、、実際、彼らは多くの人に憧れられて、いろんな影響を後世に続くバンドに与えた。オアシスのギャラガー兄弟なんて彼らに「憧れて」バンドを始めちゃったしね……
だけど2012年のフジロックのヘッドライナーでストーン・ローゼスがこの曲でライヴを始めた時の「憧れられたい」の大合唱を聴いた時は、震えたし、オーディエンスの力を感じた瞬間でもあったな。
コメント