我妻許史

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小説 『北に向かって線を引く』 我妻許史 

小説 『北に向かって線を引く』 我妻許史 (誌)的ライナーノーツ
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エッセイ 『ニューヨークの亡霊と花たち』 我妻許史

ニューヨークに行ったことがない。ロンドンにもローマにも行ったことがない。沖縄に行ったこともないし、四国にも行ったことがない。東京に住んでいながら、関東六県では茨城と群馬は未だに未到の地だ。 それどころか東京でも山手線で降りたことのない駅があ...
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小説 『ゴミ溜めの中に咲く花』 我妻許史

ゴミ溜めの中に咲く花  無職の朝は早い。僕はいつも七時前にもぞもぞと起き出して、コーヒーを淹れる。それから煙草を二本続けて吸って、バスタブに湯を張る。恋人にコーヒーとトーストを用意して、彼女が仕事に行くのを玄関で見送る。それから僕は湯に浸か...
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歌詞/曲 『ジュネを抱えて』 我妻許史

ジュネを抱えて 甘い匂い 怠惰の口笛 笑うディレイ 青い多幸感 彼らがやってきてすべてを飲み込んだ ぼくたちは弱い きみの祈りは弱い 腐った果実は分裂していく 大きなうねりが牙を剥く 行き止まりのストロベリー 亡霊たちは移動を続ける 古い灯...
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小説 『きみはジュネを抱えて』第三話 我妻許史

きみはジュネを抱えて 第三話  ぼくはカミュの『異邦人』を引っぱり出してきた。ページをめくると、しおり替わりにしていたコンサートのチケットが落ちてきた。十年前のフジロックのチケットだった。  十年という時間はどういう時間なんだろう? 長い時...
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小説 『きみはジュネを抱えて』第二話 我妻許史

きみはジュネを抱えて 第二話  ぼくはタバコが吸いたかった。喫煙の欲求はこのところほとんど感じていなかったんだけど、今は無性に吸いたかった。明日の一食を飛ばしてもいいから、一本のタバコがほしかった。ぼくは立ち上がり、ミネラルウォーターを飲む...
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小説 『きみはジュネを抱えて』第一話 我妻許史

きみはジュネを抱えて 第一話  カーテンを開けると、ネスカフェのコマーシャルのように清潔な朝が広がっていた。差し込む光は柔らかくベッドを照らし、部屋は太陽のくすぐったい匂いがした。ぼくは窓を開けて出来立ての空気を吸い込む。目の前の通りには歩...
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エッセイ 『キッズ・アー・オールライト』 我妻許史

第七回『キッズ・アー・オールライト』  この夏、引っ越しをした。俺は西荻窪という狭い地域の中だけで6回引っ越しを経験しているというなかなかタフな西荻ラヴァーで、いつか西荻窪マイスターの称号が与えられると思っている(表彰式はこけし屋の駐車場で...
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エッセイ 『アー・ユー・エクスペリエンスト?』 我妻許史

第六回『アー・ユー・エクスペリエンスト?』  新宿から西荻窪まで歩いたことがある。数年前、仕事を辞めた俺は失業保険をもらうために月に二度、新宿のハローワークに通っていた。時間はあるけれど金の無い俺は、切実に電車賃が惜しかった。新宿エルタワー...
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エッセイ 『ハートに火をつけて』 我妻許史

第五回『ハートに火をつけて』  目薬を使い切った。俺にとって目薬は三大使い切るのがむずかしいアイテムの一つで、残りの二つ「リップクリーム」と「ピンクペッパー」は未だに使い切ったことがない。  目薬買いにいかんとなー。出不精の俺はどうしても気...
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エッセイ 『サンデー・モーニング』 我妻許史

第四回『サンデー・モーニング』  日曜日の朝はスロウだ。降る光も時間もスロウ。そんなできたての朝の中、いつもより丁寧にコーヒーを淹れて、いつもよりゆっくりコーヒーを飲む。バスタブにお湯を張っていつもより長く湯につかる。スマホを放り投げて、レ...
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エッセイ 『サブテレニアン・ホームシック・ブルース』 我妻許史

第三回『サブテレニアン・ホームシック・ブルース』  東京は駅単位で文化が異なる。総武線西側においてそれは顕著で、荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺、中野とたいした距離じゃないのに、一駅違うだけで街が持つムードやカラーがけっこう変わる。長く杉並に住んでい...
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エッセイ 『ストリート・ファイティング・マン』 我妻許史

第二回『ストリート・ファイティング・マン』  多分、大学生。そのぐらいの年代にみえる女性二人組が俺の進行を妨げている。神明通りを西荻窪駅方面へのらりくらり。  俺は何度か加速して二人を追い抜こうとするけれど、進行上にはコンビニに納品するトラ...
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エッセイ 『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ』 我妻許史

年が明けた。ハッピーなニューイヤーのムードに包まれて俺はハッピー。街は地方への帰省でガラガラになるし、個人経営の店舗は閉店になる。昼からアルコールを飲みはじめても、祝祭のムードがそれを許してくれる気がするし、なにより正月の空は高い。通りが閑...
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