ヴェルヴェット・アンダーグラウンド/日曜の朝 歌詞考察

歌詞考察
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歴史的名盤『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』のオープニングナンバー

ルー・リード、ジョン・ケイル、アンディー・ウォーホル、ニコ……舞台は、1967年のニューヨーク。個性が火花を散らして歴史的名盤が生まれた。

ジョン・ケイルが言うには、このファーストアルバムはトム・ウィルソンのプロデュースとルー・リードの力が大きいということだ。

ジョン・ケイル:僕達は可能な限り少ない楽器で、フィル・スペクター風に演ろうと試みた。何曲かはとても巧くいった。ベストだったのは「毛皮のヴィーナス」で、それに「オール・トゥモローズ・パーティーズ」「日曜日の朝」もそうだ。以後のヴァルヴェッツはもう二度と、このトム・ウィルソンほど優れたプロデューサーには出会えなかった。

~中略~

大半が書き上がってるのにまだ多少の未決定の部分があるような曲の場合、それを解決するのはたいていルーだった。

up₋tight ビクター・ボクリス ジェラード・マランガ共著 訳:羽積秀明

公式にはプロデューサーはアンディ・ウォーホルということになっている。だけど、ウォーホルは音楽面での口出しは一切しなかったらしい。ウォーホルは場所と機会を与えて、メンバーはそれに乗っかった。

たしかにこのアルバムの何曲かを聴いていくとフィル・スペクター風のウォール・サウンドを狙っていたんだな、という形跡が見て取れる。ヴィオラなどのストリングスや多彩な楽器を操るジョン・ケイルはこれらの楽器のドローン効果がヴェルヴェット・アンダーグラウンドの世界観とマッチすると考えたんだろう。

オープニングナンバー”日曜の朝”

この曲、サウンド的にはあまりロックを感じない。軽やかでスウィートなメロディ。これがニューヨークパンクの祖なの? と驚いたところでどんなことを歌っているのかを見てみよう。

日曜の朝 和訳

日曜の朝

夜が明ける

不安な気持ちがつきまとう

夜明けだ

日曜の朝

無駄にしてきた歳月が

押し寄せる

気を付けて、おまえの後ろにある世界に

いつだっておまえを呼ぶ

誰かが回りにいるんだ

日曜の朝

俺は堕ちていく

知りたくない感覚に襲われ

夜が明ける

日曜の朝

そんなに前じゃない

みんなおまえが通ってきた道

日曜の朝

日曜の朝

日曜の朝

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド ”日曜の朝” 対訳:AKIYAMA SISTERS INC

知りたくない感覚に襲われ 夜が明ける

日曜の朝――爽やかな風がカーテンを揺らして小鳥がさえずっている。この曲のサウンドだけを聴いているとなんとなく素敵な予感について歌っているような気がしてしまうけれど、実際は日曜の朝の倦怠感についての歌だ。

若いときには誰でも経験があると思うんだけど、土曜日の夜から朝にかけて飲み歩いて、無慈悲な太陽が昇っていくときに感じるあの感じ。魔法が解けてしまったような、時間を無駄にしてしまったような、そういう感覚が見事に描かれている。

実際にこの曲は、ルー・リードとジョン・ケイルが夜通し遊び歩いて迎えたある日曜日の朝6時に、友人のリン・ティルマンのアパートで書いた曲だということだ。

知りたくない感覚に襲われ 夜が明ける 日曜の朝

とくにこの一節が素晴らしい。

大都市の華やかさじゃなく「アンダーグラウンド」を表現したこのバンドの登場に相応しいオープニング・ナンバーといえるだろう。

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