ベック 『オディレイ』 ラムシャックル 歌詞考察

歌詞考察
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メロウ・ゴールドの遺産

『オディレイ』のラストを飾る“ラムシャックル”は、ボング・レコード時代のチームでレコーディングされた、前作『メロウ・ゴールド』の遺産ともいえる曲。

剥き出しのナマなベックが垣間見れるフォーキーな良曲だ。

この曲はエンディングの数秒後に、バグったようなフレーズが繰り返される。ベックはこのバグをこの曲に組み込むことに決める。

それをそのまま録ったんだ。あれは、マシーンのささやかな意思だったのさ。なにかの形で、アルバムに貢献したかったんだと思うよ。

『ベック』 ジュリアン・パラシオス著 山本安見訳

祖父アル・ハンセンが所属したフルクサスの精神を受け継ぐかのようなハプニング、偶然を自分の作品に持ち込むマインド。

ベックの精神性を表した美しいエンディングだ。

ラムシャックル 和訳

あんたもずいぶん長いよな

見えない目玉は消えてなくなり

老いぼれた骨ばかりが残された

さあ コートを脱いで

ノドに歌でも詰め込んで

死の鼓動をそこら中に響かせろ

どうにもなりゃしない

話も全然しなくていい

使い回しの町

どいつもこいつも一緒くた

見切り品を あんたはかき込む

バケツやカバンや ありったけの持ち物に

あんたは砂上の列車

今にも崩れそうな土地

ネズミどもに見せてやれ この堂々巡り

どうにもなりゃしない

決め手が見つかるまでは

使い回しの町

どいつもこいつも一緒くた

ホメ言葉は消耗品 ズル賢い連中は夢中

豚小屋行きか 賞金か

どんな類いの富だって

どうせあんたにゃ似合わない

あんたは中身が置き去りだから

Beck ODELAY RAMSHACKLE ベック オディレイ ラムシャックル 対訳 染谷和美

使い回しの町 どいつもこいつも一緒くた

この曲には静かな怒りが込められているような気がする。

それはベックが育ったロサンゼルスという街に対してかもしれないし、聴衆に対してかもしれない。

僕はこの街を憎みながら大きくなった。とてつもない数の人間が住んでるのに、ゴーストタウンのような気がしてならなかった。

サン・ハウスの曲をやっみても、客はみんな喋ってるだけ。

誰も僕なんか相手にしてくれないし、演奏するチャンスさえなかなかもらえなかった。

『ベック』 ジュリアン・パラシオス著 山本安見訳

インタビューで、ロスの街についてこう語るベック。

見えない目玉は消えてなくなり

老いぼれた骨ばかりが残された

の歌詞は、「現代ではブルースを誰も聴かなくなった」ということを歌っているように思える。

ノドに歌でも詰め込んで

死の鼓動をそこら中に響かせろ

死の鼓動はおそらく“ブルース”のことだろう。

だけど、死の鼓動は響かない(どうにもなりゃしない)

使い回しの町

どいつもこいつも一緒くた

というわけだ。

見切り品を あんたはかき込む

ホメ言葉は消耗品 ズル賢い連中は夢中

豚小屋行きか 賞金か

どんな類いの富だって

どうせあんたにゃ似合わない

あんたは中身が置き去りだから

辛辣な言葉を誠実に歌うベック。

ここで歌っているのは合理主義、拝金主義の批判であり、ロスの街のそういった側面に対しての「反」だろう。

この曲でベックは、自分が信じた「リアル(ブルース)」を歌っている。

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