名声に向き合うオアシス
『モーニング・グローリー』って捨て曲がないよね。そんなに熱心なファンじゃなくても、耳したことのある曲が満載だもんな。
「ヘイ・ナウ!」は、オアシスらしいフックのあるメロディと、歪んだギターが特徴の佳曲だ。
気合はあんまり感じないけど、放つ言葉の気合は凄い。現状を見つめるノエルの視点が歌詞から感じることができるんだよな。
ヘイ・ナウ! 和訳
自分のソウルだけを道連れに
国道沿いでヒッチ・ハイク
ちょうど空が暗黒色に染まる頃
俺は名声とやらの悪友になった
過去の記憶全てに背を向け
二度と戻れない旅路へ踏み込んだ俺
年月が指のすき間から
こぼれ落ちていくのを自覚しつつ
何が自分を待ち構えているのかすら解らない
お前が直視されてる今どう対応すりゃいいんだ
かつてはお前に無視され続けたってのに
たったいま誰かがこう言ってるのが聞こえた
もう今さらジタバタしても無駄さ
HEY NOW! HEY NOW!
恥ずべきようなことじゃない、時間の奴隷になってる訳じゃないんだから
恥ずべきようなことじゃない
そして俺が最初に目撃したのは
幾重もの扉を開けながら見たものは
壁に書きなぐられていたこんな伝言
お前自身は決して解らないだろう
最も理解しておくべきことは
お前の脳裏に貼りついている真理の数々は
そして時間は止まり
もう二度と俺の手中には戻らない
もう俺個人のものじゃないんだ
そして天から堕ちる自分を感じつつ
改めて自分に問い質してみた
これを俺と共有できる奴はいないんだろうか?と
oasis 『 (What’s the Story) Morning Glory?』Hey Now! 対訳:児島由紀子
これを俺と共有できる奴はいないんだろうか?
選ばれてあることの恍惚と不安二つ我にあり
これは、フランスの詩人ヴェルレーヌの詩の一節で、後に太宰治が短編『葉』に引用した言葉なんだけど、「ヘイ・ナウ!」には若干そのテイストがあるというか、まあ、恍惚が主だけど、成功という初めて味わう現象を受け止めようとしている。
ちょうど空が暗黒色に染まる頃
俺は名声とやらの悪友になった
二度と戻れない旅路へ踏み込んだ俺
年月が指のすき間から
こぼれ落ちていくのを自覚しつつ
何が自分を待ち構えているのかすら解らない
初めての経験に戸惑いもするんだけど、ラッドなマンチェスター男たちはこう結論付ける。
もう今さらジタバタしても無駄さ
HEY NOW! HEY NOW!
しょうがないよね。だって、手にした名声はもう俺個人のものじゃないんだから。
それにしても、これを俺と共有できる奴はいないんだろうか? という歴代ロック・スターたちが抱えた呪縛は、能天気そうに見えるオアシスですら直面することになるんだから面白い。
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