ザ・ストロークス 『イズ・ディス・イット』 ベアリー・リーガル 歌詞考察

歌詞考察
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かろうじて合法

ソリッドでガレージロックしている“ベアリー・リーガル”

タイトに引き締まったリズムが推進力となって、サビでの景色が開ける感じが素晴らしい。

派手さはないけれど、何度聴いても飽きのこない曲で、ぼくも自分のバンドでカバーしていた。二周り目からの高揚感が良いよね。不思議な魅力がある――タイトルの「かろうじて合法(ベアリー・リーガル)」の通りに……!

ベアリー・リーガル 和訳

近道など使ったことがない

使ったのはみんな自分が稼ぎ貯めた金

あぁ、幸運に見放されたみたいだ

姉さんみたいに、やけを起こしそうだ

君の無罪を盗んでやりたい気持ちさ

この人生、意味なんて何もないみたいさ

君のその奇妙なマナー、僕は好きだよ

「彼、新しいトレンチコートを着ればいいのに」

あぁ、もっと一生懸命働くべきだった

あまり色々と気にし過ぎない方が良かった

彼女はウィークデイには決して出て来ない

そのことが昨日分かった

「車で送ってくわ、時間に間に合うように」

「この小さな問題達は、あなたのではなく私のよ」と言った彼女

「来て!私の言う事聞いて」

「あなたがここにいたくなるような秘密を持ってるから」

僕はただ君を突き放したいだけ

ただ君を振り向かせたいだけ

あぁ、君は僕が望むものを何も持っていなかった

それでもいいから全部欲しいんだ

自分でも何が何だかよく分からないけど

そして全ては上手く行った

僕達が親友だというふりをしたから

彼女は言った「あなた、狂ってるわ」と

「彼らが私達に過ちを犯させた」と

二人一緒で、始まりの時のように

終わりもまた全て上手く収まり

僕らがしやこと、君の隠し事

それは君と僕の間のこと

僕は無作法に振る舞いたいだけ

ただ君の奴隷になりたいだけ

あぁ、君は僕が望むものを何も持っていなかった

それでもいいから全部欲しいんだ

自分でも何が何だかよく分からないけど

そして全ては上手く行った

僕達が親友だというふりをしたから

彼女は言った「私、待てるわよ」と

僕達が彼らに過ちを犯させた

二人一緒で、始まりの時のように

終りもまた全て上手く収まり

僕らがしたこと、君の隠し事

それは君と僕の間のこと

THE STROKES 『IS THIS IT』 “Barely Legal” 対訳:岡本将生

君の無罪を盗んでやりたい気持ちさ

近道など使ったことがない 使ったのはみんな自分が稼ぎ貯めた金

いきなりダサいというか、なんというか「どうした?」というような歌詞なんだけど、この曲は歌詞を読んでみると恋愛の曲なんだね。しかも田舎っぺの恋愛というよりは、都会的なやつで、「かろうじて合法」と謳われる通り、ちと刺激的なやつ。

君の無罪を盗んでやりたい気持ちさ

君の無罪(innocence)を盗んでやりたい。ここに「かろうじて合法」の秘密があるみたいね。

この人生、意味なんて何もないみたいさ

もっと一生懸命働くべきだった

あまり色々と気にし過ぎない方が良かった

どうやら主人公は自己肯定感の低い人物で、innocenceな相手の対極にいるようだ。

僕はただ君を突き放したいだけ

ただ君を振り向かせたいだけ

あぁ、君は僕が望むものを何も持っていなかった

それでもいいから全部欲しいんだ

自分でも何が何だかよく分からないけど

シェイクスピア的独白、混乱する哀れさを歌い、次のラインで唐突にそして全ては上手く行ったというフレーズがやってくる。

僕達が親友だというふりをしたから彼女は言った「あなた、狂ってるわ」と

主人公は汚すことのできない(innocenceな)彼女を恋人にするのではなく「親友のふり」をすることで全ては上手く行った、と言っていることがわかる。それに対して彼女は「狂ってる」と言い、続けて「私、待てるわよ」と伝える。

ここまで読んで、これは年の差恋愛の葛藤の話なんだ! と分かってくる。ベアリー・リーガル(かろうじて合法)な彼女に、どうしていいか自分でも分からないけれど全部ほしいと願う男は、そりゃあ、ダサいというか、悲哀を感じるというか、滑稽さは滲んじゃうよな。だって、君の奴隷になりたいと言ってみたり、(若者のように)無作法に振る舞いたいとか言っちゃってるんだもん。でも、彼女は「私、待てるわよ」という反応だし、いいのか。大人だね。

二人一緒で、始まりの時のように

終りもまた全て上手く収まり

「終わりよければすべてよし」の言葉がある通り、時間が解決してくれるよ、きっと。それにしてもアグレッシブな曲に対して、歌詞はなんというか……ジュリアン・カサブランカス流連続テレビドラマって感じで面白いね。 

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