辻堂ゆめ/サクラサク、サクラチル ブックレビュー

レビュー/雑記
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世界最速レビュー#18 辻堂ゆめ著『サクラサク、サクラチル』

2023年7月26日ごろ、辻堂ゆめの新刊『サクラサク、サクラチル』が発売されます。

「世界最速レビュー」シリーズとは、発売日まもなく書店員が、その小説の見どころをたっぷりお伝えする連載です。

双葉社
双葉社は「週刊大衆」、「漫画アクション」などの定期刊行物、コミック、書籍などを発行している総合出版社です。

「絶対に東大合格しなきゃ許さない」――両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。そんなある日、クラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに――。教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。

双葉社

小説作家・辻堂ゆめの手の中には

作家・辻堂ゆめは世の中の「ふつう」の中に溶けている、困った人たちをあぶり出すのがとても上手な作家さんだと思っています。

そんな中、辻堂ゆめは今回、新刊長編小説の『サクラサク、サクラチル』ではどのようなものを主人公と設定するのでしょうか。

タイトルの『サクラサク、サクラチル』から想定できるように、こちらは受験小説となっています。

主な登場人物は高校生の進学校の学生たちです。

毎日予備校に通い、模試をたくさん受けて、クラスの子とは仲良くしながらもライバル意識を持って過ごしています。

が、『サクラサク、サクラチル』はただの進学校舞台の受験小説ではありません。

学校の中でふとした瞬間に具合が悪くなってしまう主人公は、どんな問題を抱えてしまっているのでしょうか。

『サクラサク、サクラチル』衝撃のプロローグ

小説『サクラサク、サクラチル』を読み始めるべく、書籍を開いた読者はまず驚くこと間違いないでしょう。

衝撃的なそのプロローグの始まり方に。

本編を読み進めながらも、プロローグのことが頭を離れません。

そして本編第1章を読み終える頃になると、読者はプロローグの内容を掴めたような気がしてきます。

けれどもそこは青春ミステリー。

最後まで読み進めないと、この物語はパーツが繋がりません。

ぜひ油断せずに、最後まで『サクラサク、サクラチル』をお楽しみくださいね。

『サクラサク、サクラチル』は受験小説 × ミステリー小説

実際の宣伝に、『サクラサク、サクラチル』がミステリー小説であるとの記載もあります。

Amazonの紹介ページには「驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。」と書かれています。

『サクラサク、サクラチル』単行本の一刷帯にも「受験小説ミステリー」の文字が。

ミステリーであることを隠さず、誇りにしているのですよね。

その謎とは「どうやって主人公が東大に合格できたか」という謎ではありません。

主人公たちの受験とぴったりくっつき、けれども全く別の場所で起こる謎があります。

『サクラサク、サクラチル』小説本編のなかに度々登場するのは「復讐計画」の4文字です。

主人公たちはいったい、何を企んでいるのでしょう。

誰に、何の「復讐」を果たすべくこうも長い時間をかけて準備しているのでしょうか。

会社勤めのあり方も変わっている今でも、一貫の幼稚園、小学校を目指し。

中小企業の活躍が大きくなる今でも、日本一の大学のブランドを目指す。

「これが現代の受験心理なのかも?」とつい考え、「早いうちから人生の安泰を手に入れる」術を得ることとはいったい何なのかを考えさせられました。

受験に繋がる社会構造の繋がる話に、学生や大学受験を卒業した読者も頭を抱えることでしょう。

文:東 莉央

東 莉央

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