散文 『まる』 小日向ジュンコ

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まる

なぜか一度は通る「まる」
不思議と魅了される あの「まる」

でもある日とつぜん見向きもされなくなる
それどころか憎まんばかりに厭う者もあらわれる

そして「さんかく」や「しかく」に
ある者は「多弁な まる」へ

あれほど愛された「まる」は
家の中から消え
もしくは次世代へ引き継がれ
あるいは抽斗の中でひっそりと
地球を守っているのだ

あれから10数年

息子の朝食に添えてみた
丸顔のスプーン

あの頃はちゃんと発音できなかった
アンマンマン

「なんであんなに好きだったんだろ」

わたしも知りたいよ

小日向ジュンコ

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