リアム・ギャラガー キャリア屈指の名曲
リアム・ギャラガー 3rdソロアルバム『カモン・ユー・ノウ』は傑作だ。
2009年にオアシスが解散して、ノエル・ギャラガーは、オアシスで表現していたダイナミックさや、ロックの要素を脱ぎ捨て、シーンから距離を置き、自らの音楽性を深化させる方向へシフトしていったように思う。
対してリアム・ギャラガーは、兄が捨て去ったものを一人で背負っているように感じられるのだ。それは魔法のようなもので、儚いけれど確かに存在するロックンロールの光。
オアシスの魂を引き継ぎ、片翼で飛ぶリアムの雄姿(はあ? あんなポテトくん⦅ノエルのこと⦆知らねえぜと言うと思うけど)は、めちゃくちゃにかっこいい。
今年(2023年)のサマーソニックに来るしね、みんな、フロントで仁王立ちするリアムを観にいこう。
『カモン・ユー・ノウ』のベスト・トラックの一つがデイヴ・グロールと共作した〝エヴリシングス・エレクトリック〟だ。
今までのソロ曲は、どこか小粒で線が細い曲が多かった印象だけど、この曲は凄い。パワフルで繊細、ダイナミックで飽きがこない。実際、キャリア屈指の名曲だと思う。
ビースティ・ボーイズの〝Sabotage〟とザ・ローリング・ストーンズの〝Gimme Shelter〟がインスピレーション源らしいんだけど、それに関しては、うーーんわからん!
どっちも名曲だけどさ。でも、こっちのほうが圧倒的にビリビリくるぜ。
エヴリシングス・エレクトリック 和訳
町が燃えている
海に沈んでいく船
夜には夢で頭がいっぱい
悲しみが人生の物語を書き上げた
何もすることがないのに
時間は砂金を求めて掘り進む
今度は君の目に恥が浮かんで見える
中は寒いぞ
君のフェイクな謙虚さ
いざとなったら口ごもって
成功するチャンスがボツに
No
わからないと思った?
君が嫌いなワケじゃないが、あの感じは軽蔑するよ
ここにはもう、俺のためになるものなんか何も残ってない
行ってみなきゃわかるまい
上っ面ばかりのフィーリング
そうそう気を許せるもんじゃない
真っ赤なお日様の下で
何もかもがビリビリくるぜ
言ってみな
何を愛してるのか
そいつに殺されてもいいと思ってるのか?
夜ともなれば頭は夢だらけ
悲しみが書き上げた人生の物語
高く登れば登るほど長く飛んでいられることになる
君が何を欲しがってるのか、俺にはわからなくて
だから全部あげちゃったんだ
人生、どんどん短くなって
一日は長く感じることがほとんどだ
足りない何かを連ねた鎖
それしかもう残っていない
No
こだわりは捨てな
君が嫌いなワケじゃないが、あの感じは軽蔑するよ
ここにはもう、俺のためになるものなんか何も残ってない
行ってみなきゃわかるまい
上っ面ばかりのフィーリング
そうそう気を許せるもんじゃない
真っ赤なお日様の下で
何もかもがビリビリくるぜ
リアム・ギャラガー 『カモン・ユー・ノウ』 エヴリシングス・エレクトリック 対訳:染谷和美
君が嫌いなワケじゃないが、あの感じは軽蔑するよ
何もかもがビリビリくるこの曲で、リアムは何を表現しているんだろう?
それはロックの核心、ロックの最前線にいるということについてなんじゃないかな。
君のフェイクな謙虚さ
いざとなったら口ごもって
成功するチャンスがボツに
No
掴めるものは今すぐ掴め、今が過去になってしまう前に、というわけだね。
続くサビは印象的だ。
君が嫌いなワケじゃないが、あの感じは軽蔑するよ
ここにはもう、俺のためになるものなんか何も残ってない
このあの感じというのは具体的にわからないけど、リアムがよくインタビューで答える「あいつらの曲はいいと思うよ。だけど、ラッドじゃねえな」とか、「曲はいい。でも髪形が最悪だ」とかの感じに違いない。要は、自分のフィーリングを信じようぜ、という意思表示なんだろうな。
言ってみな
何を愛してるのか
そいつに殺されてもいいと思ってるのか?
これがきっと核心だろうね。
リアムはこう言っている。「俺はロックに命をかけているのか?」って。
答えはきっとステージにある。
俺たちはビリビリしながらあの感じを体験しよう。
リアム・ギャラガーは、五人の客の前で「今夜俺はロックンロール・スターだ」と歌ったときと同じアティチュードで、今夜も歌っている。
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