ザ・ローリング・ストーンズ 『ベガーズ・バンケット』 ストリート・ファイティング・マン 歌詞考察

歌詞考察
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政治の季節のストーンズ

1968年ラブ&ピースが叫ばれる中、ビートルズは“ヘイ・ジュード/レボリューション”をリリースし、ローリング・ストーンズは“ジャンピング・ジャック・フラッシュ”と“ストリート・ファイティング・マン”をリリースした。

当時、世界で起こったことを見渡すと、ベトナム戦争が勃発、マーティン・ルーサー・キングが暗殺、ロバート・ケネディ暗殺、文化大革命が起きるなど、激動としかいいようがない時代だった。

ロックンローラーは時代に反応して曲を作る。ジョン・レノンは“レボリューション”で「革命が必要? そりゃみんな世界を変えたいさ」とダルそうに歌い。ミック・ジャガーは“ストリート・ファイティング・マン”で「ヘイ 革命の時だ」と高らかに歌った。レノンに比べると、かなりストレートに反ベトナム戦争を叫ぶ若者たちへの連帯を表明した形だ。

ローリング・ストーンズ初のプロテスト・ソングは、サイケデリックという異界を抜けて、激しい「現実」を軽快に鳴らした。

ストリート・ファイティング・マン 和訳

何処ででも人は行進したり 暴走したりしてる

夏が来た

路上で騒ぎが起こる時期だ

そう貧乏人の餓鬼が稼げることと言ったら

R&Rバンドで唄うことぐらい

寝惚けたようなロンドンの街にゃあ

暴徒はお呼びじゃない そう

ヘイ 革命の時だ けど 周囲の奴等ときたら

妥協をしたがってる

そう貧乏人の餓鬼が稼げることと言ったら

R&Rバンドで唄うことぐらい

寝惚けたようなロンドンの街にゃあ

暴徒はお呼びじゃない そう

ヘイ 俺の名前は邪魔者

俺は叫んで叫びまくる 俺は王様を殺す と

俺は王様の召使いを嘲笑してやる

そう貧乏人の餓鬼が稼げることと言ったら

R&Rバンドで唄うことぐらい

寝惚けたようなロンドンの街にゃあ

暴徒はお呼びじゃないよ そうヘイ やろうぜ

『Forty Licks』より転載 

ヘイ 俺の名前は邪魔者

ミック・ジャガーは歌詞が良いと思う。シンプルに己が表現するために必要な言葉を選ぶセンスが図抜けているように思うんだ。

「ローリング・ストーンズ」という若者が憧れるアウトサイダーが「政治」について歌うとするならば、何を歌えばいいのか? そういったことを考えて書いているのかは不明だけど、この歌詞を読むと「ローリング・ストーンズ」の「ミック・ジャガー」が書いたとしか思えない。

何処ででも人は行進したり 暴走したりしてる
夏が来た
路上で騒ぎが起こる時期だ
そう貧乏人の餓鬼が稼げることと言ったら
R&Rバンドで唄うことぐらい

一方では政治の季節の風景を描く。そしてもう一方では貧乏なキッズにはロックしかないということを書く。一見無関係に思える言葉を次の言葉で結びつける。

ヘイ 俺の名前は邪魔者

このフレーズでこの曲の核心が現れる。

政治に意見があるなら路上に出よう。現状を打破するためには行動しよう。共通してるのは大人の邪魔をするということ。国も大人も従順な子どもを好む。意見を言う子どもは教育され、矯正され、封殺される。

ミック・ジャガーは後年、この曲が今の時代に共鳴する部分があるとは思えないとインタビューで語っているけれど、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがこの曲をカヴァーしたり、世界に混沌とした政治状況がある限り有効なんじゃないかな。だって、曲は古びてもアティテュードは滅びない(それに今聴いてもかなりかっこいい)。

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